ギイギが語る 「 見えない巨人の踊り 」

自作のオーディオ・ドラマ「ハービーとキャプテンカープⅣ」から。


プラシボーの池の水が尽きかかり、今や滅亡の危機にあるラベンダー惑星。
ハービー は湧水の井戸の守護婆 ギイギ に、富士山の湧水をラベンダー惑星へ届けたいと願い出る。
懇願する ハービー の目を見つめながら ギイギ は語り出した。

プラシボーの池に水が尽きた時、あたりは闇に包まれる。
どこか遠くの方から、太鼓を叩くような音が聞こえてくる。
まず、小さな生き物たちが行く当てもなく走り出す。
大きな生き物は天を仰いで叫びだす。

太鼓の音がだんだんと近づいてくる、
炎の神に仕える兵士たちの進軍が始まったのじゃ。
大地は山も平原もわからぬほどに波打ち、
やがて波打つ大地を切り裂いて、
見えない巨人が現れる。

炎の神の兵士たちとともに、巨人は踊りだす。
その踊りは「喜び」なのか、「怒り」なのか、
沈黙していた者の叫びの踊りじゃ、
だれにも止めることはできん。

巨人の足で踏まれた大地は燃え上がり、
溶けて川のように流れ出す。
何年も、何十年も、いや、百年、千年かもしれん、
見えない巨人の踊りは続くのじゃ。

声の出演 : 飯島晶子

☆ 恥ずかしいほどに大袈裟な私の音響演出も、飯島さんの好演のおかげでスリリングなドラマに仕上がりました。
一部、効果音のレベルが高すぎて音声をつぶしているところがあります。
私のディレクションミスです、ごめんなさい。