砂浜の椰子の木の陰の 小さなキャビンに住み
東に病気の子どもあれば 行って その舌に滋味に富むひとかけをのせ
西に疲れた母あれば 行って その稲の束にそっと一枚の板チョコをしのばせる
南に死にそうな人あれば 行って カカオのアロマで夢幻へと誘い
北に喧嘩や訴訟があれば 甘い物でもおひとついかがと言う
日照りの時はドロドロと溶け 寒さの夏はちょうど良い食べごろで
みんなにどうしていつも笑っているのと聞かれ
甘くもあり 苦くもある
そういうチョコレートのようなものに
わたしはなりたい